IBマガジン

【自己紹介】IB BREWING代表 西原総司

初めまして!IB BREWINGの西原と申します。

この度、「IBマガジン」と題しまして、西原総司がIB BREWINGの経営の裏側や想いをブログ形式でここに記して行こうと思います。個人的な備忘録も兼ねているので読者の皆様には、西原はこんなこと考えてるんだ、くらいの軽いノリで見届けていただけたらと思います。

実はこのIBマガジン、IB BREWINGが自社醸造を始めた2022年2月から何度も書こう書こうと思ったものの、これまで綺麗にやるやる詐欺になっていました。実際に自分たちの手でビールを作り始めると、醸造所での作業や営業や納品で手一杯でとてもブログを書いている時間はありませんでした。

そして自社醸造を始めてちょうど1年。生産ラインも整い、お取引先の皆様にも恵まれ、ようやくブログを書く余裕ができました。

私はある意味、自分の日課であったブログの執筆をサボりながらこの一年、「暇のない幸せ」を噛み締めていたのかもしれません。

遡ること19歳。私がIB BREWINGを立ち上げる前、東アフリカに位置するケニア共和国のムファンガノ島という島で養鶏事業を営んでいました。
英語も喋れない私に仕事なんてありません。一日1ドルで暮らす貧困層の現地人の友人にひと部屋借りて居候させてもらいながら、すぐにお金を生み出せそうで市場も大きいという理由で養鶏事業を始めました。

毎朝6時には起きてニワトリに餌をあげ、水を交換して鶏舎を掃除。
午前中にニワトリが産んだ卵を回収して市場に売りに行く、そんな毎日を過ごしていました。

生きていくために必死に仕事をする私をよそに、現地に住む島の人は仕事をせず昼からお酒を飲んでる人も多くいました。昼からほろ酔いの仕事のない彼らに私はいつも「チナ(中国人への差別用語)」、「ムズング(白人への差別用語)」と後ろ指を立てられていました。

当時の私には彼らの気持ちが全く理解できませんでした。

ケニアで養鶏事業を始めてしばらく経った頃、私が飼育していたニワトリの中から「鶏痘」という鶏痘ウイルスによって引き起こされる急性伝染病に罹ったニワトリが発見されました。
鶏痘に感染すると致死率も高く、発育不良や長期の産卵不振の原因となります。私の飼っていたニワトリも200羽以上が感染し、90%近くが産卵不振になりました。残念ながら回復は見込めず、卵を産まないニワトリを飼育していても餌代だけは発生するので事業を畳む決意をし、合計270羽近くのニワトリを自分の手で一羽一羽殺処分しました。

平身低頭な想いでいっぱいでした。

すっかりケニアで仕事を失ってしまった私は日本に帰る航空券を買い、離陸の日までを島で過ごすことにしました。

島で何をするわけでもなく仕事もないので昼間からお酒を飲んでいました。

することもないのでSNSを見ていると日本の友達や同年代の活躍が目に止まりました。当時の私には彼らが輝いて見えたし、羨ましく思えたし、何より嫉妬心のようなものも感じました。

私に後ろ指を立ててきた現地に住む島の人の気持ちが0.1mm分かった瞬間でした。

養鶏事業を畳み仕事がなくなった時、隣の芝生が青く見え、他者に対して劣等感を感じることがあり、そんな時に私の人生のバイブル「賢者の書」を読み返しました。(喜多川泰さんという方の名著です。ぜひ読んでみてください。)

そして気づきました、「暇」こそ諸悪の根源なのだと。
私は隣の芝生を眺めてばかりで、自分の芝生の手入れをすっかり忘れていました。

2020年日本に帰国してまもなく、IB BREWINGを運営する会社を起業しました。コロナ禍での起業となり、売上がほとんどない氷河期もありました。けれどもケニアでの失敗が糧となり、起業してこれまでひたすら自分の芝生を手入れしてきました。
その甲斐もあってか、ようやく3年目にしてその芝生に花の芽が生えてきたように感じます。

ケニアでニートを経験したからこそ今「暇のない幸せ」、を強く感じているのだと思います。今後は日課であったブログの執筆も再開し、IB BREWINGと私の軌跡を残していくので読者の方の暇潰しにでもなれば本望です。

来月でIB BREWINGは1周年を迎えます。2023年も日本で一番ニワトリに詳しいビール会社社長として邁進してまいります。ニワトリのことであればなんでも聞いてください。

それではまた!