ストーリー

2018年7月|広島を襲った西日本豪雨災害

広島市内から車で40分、電車で1時間かかる町、広島県呉市市原。時を遡ること2018年6月、 台風7号および梅雨前線等の影響による集中豪雨が西日本を中心に降り注ぎました。現在醸造所がある呉市も甚大な被害を受けました。 一夜にして一変した生活。

西日本豪雨災害は多くの死者と多くの思い出を流しました。被災地には多くのボランティアの方が駆けつけ、 私も土砂や瓦礫の撤去作業を行いました。被災後も思うように整備が済んでいない地域もあるのが現状です。
特に私がボランティアで入った市原地区の世帯数は、被災前の20世帯から被災後に10世帯にまで減少し、消滅集落の一途を辿っています。

壮大な山々に囲まれ、すぐ横を綺麗な野呂川が流れるこの自然豊かな村がなくなってしまうのはとても寂しく思い、市原に時折足を運ぶようになりました。

2021年2月|現醸造所との出会い

私が市原地区へ足を運ぶようになり数ヶ月、とある転機が訪れました。災害前、市原地区に住まれていて災害後に市原地区から引っ越された方との出会いです。もともと別の地域で醸造所を造ろうと物件を探しに苦戦していた時に私の夢とご自身の想いを重ねられ、大切な大切なお住まいを貸していただけることになりました。

土砂災害により家族を亡くし、住んでいた建物も土砂に浸かり住めなくなった。
ここへ戻ってくるたびに家族と過ごした楽しい思い出と家族を亡くした怖い思い出がよみがえる。
ただ何もせず空き家にしておくのもご先祖さまにも失礼だし何より亡くした家族に顔向けできない。
あなたがこの建物に再び風を通してくれるのならお貸しします。

亡くなられたご家族は毎晩ビールを飲まれる方と大家さんから聞きました。天国にいるご家族様にも気に入ってもらえるようなビールを目指そう。
大家さんが私たちに物件を貸すことを決めたときの言葉は今でも私たちの胸に深く刻まれています。

2021年4月|クラウドファンディングで200万円の調達

醸造所にする物件が決まったものの、当時21歳だった代表の西原にはまとまった貯金もなければ 銀行から融資を受ける信用もありません。そこで近年、元SMAP草彅剛を起用したテレビCMでも話題になったCAMPFIREで資金を募ることにしました。

同年1月に広島県呉市で20年以上クラフトビールを造ってこられた海軍さんの麦酒が閉業されたタイミングだったため、私たちが呉市でクラフトビールを造ると発表すると広島県内外から多くの応援メッセージと支援が集まりました。テレビや新聞でも取り上げていただきこのクラウドファンディングを通して金銭以上の人との繋がりと認知を得ることができました。当時まだ名も無いIBBREWINGに344人、2,257,185円もの支援をいただきました。

このクラウドファンディングの成功がなければ醸造所完成はもっと先になっていました。
感謝してもしきれません。

2021年6月|DIYで古民家を改装

私たちの醸造所となる古民家は築70年。大きな敷地に納屋と母屋が並びます。私たちは納屋を改装して醸造所に、母屋を改装して貯蔵庫、コワーキングスペースにする計画を立てました。

2018年の豪雨災害後、3年間もの間空き家になっていました。人が住まないと家はどんどん朽ちていきます。湿気が溜まり床材も壁も傷みが激しく、屋根裏をネズミが走り回る。私たちが手をつけ始めてまず取り掛かったのは家具、生活用品の処分でした。軽トラにゴミを乗っけては30分かけて焼却炉まで持っていく作業を30往復以上、処分費用は総額で20万を超えました。

少しでも改装費を浮かせるために、土間工事、電気工事、建物の補強以外の内装解体、左官仕事、排水工事は全て自分達で行いました。それだけで工事費用約50万円を節約することができました。機材を入れれるようになるまでに期間はかかりましたがこれも美味しいビールを造るための醸造機材を一つでも多く購入するための努力です。


随時更新されるIB BREWING STORYもお楽しみください。