オールインワンタンク

マッシュの詰まりと加熱エレメントの空焚きを防ぐ方法

ステンレス製の電気加熱エレメントは、常に水に浸かっている必要があります。 加熱エレメントが露出すると、熱が適切に分散されず、過熱によって破損したり、溶けたりする可能性があります。最悪の場合、糖分が焦げ付き、ビールに焦げたような不快な風味を与えてしまいます。

もし空焚きをしてしまうと、加熱エレメントが破損するだけでなく、バッチそのものが台無しになることもあります。エレメントが故障すると、外部が完全に損傷する場合や、内部で部分的に故障する場合があります。予備のエレメントを用意しておくことは大切ですが、故障を防ぐための対策を講じることが重要です。


マッシュ時の注意点

オールインワンタンクでは、モルトバスケットからタンク下部へと麦汁が流れ、ビール用ポンプによって麦汁がタンク底部から吸い上げられ、モルトバスケットの上部に戻されます。この仕組みはヴァーロフ(循環)に便利で、マッシュ温度の調整にも役立ちます。しかし、ポンプの流量が速すぎると、モルトバスケットの下部から麦汁が抜けすぎて、加熱エレメントが露出し、空焚きが発生する可能性があります。

特に以下の条件でこの問題が起こりやすくなります。

  • マッシュの初期段階(穀物ベッドがまだ完全に流動化していない)
  • 粉砕が細かすぎる(流れが悪くなる)

これを防ぐための対策をいくつか紹介します。

1. 穀物の粉砕サイズを大きくする

  • ローラー式のミルを使用する場合、推奨の粉砕幅は 0.04〜0.045インチ(約1.0〜1.1mm)それでも問題がある場合は、さらに幅を広げる
  • オーツ麦やライ麦など粘度の高い穀物を使用する場合、ライスハル(米のもみ殻)を混ぜると流動性が改善される
  • 焙煎モルトは、砕けやすく粘りが出やすいため、淡色モルトの後に追加する

3. ポンプの流量を適切に調整する

  • モルトバスケット内の液面が上昇する場合、ポンプの流量が速すぎるため調整が必要
  • ポンプの排出口に バルブを設置し、流量を絞る(吸入口側のバルブはポンプの空回りを防ぐため閉めないこと)
  • 穀物が詰まってポンプラインが閉塞した場合、発酵タンクの底部ポートではなく サイドポート(コニカル部の横) を使用するとスムーズに循環できる

ボイル時の注意点

ボイル時に加熱エレメントが露出しないようにするため、以下の手順を守りましょう。

  1. エレメントが完全に浸かる最低水位を確認
  2. 安全マージンとして10〜20%の余裕を持たせた水量を確保
  3. レシピごとに最小水量をチェックし、途中で水位が下がらないよう管理
  4. 醸造中は装置のそばを離れない(過去には、醸造中に外出し、戻ったらエレメントが空焚きで焼損していた例も報告されている)

発酵時の注意点

発酵中もマッシュやボイルと同じルールが適用されます。

  • エレメントを常に液体に浸した状態にする
    • 低出力であれば酵母がエレメントに付着しても焦げつきにくい
    • 最善の方法は 常にエレメントが浸かっている状態を維持すること

まとめ

電気加熱エレメントの空焚きを防ぐためには、

  1. 穀物の粉砕サイズを適切に調整
  2. ポンプの流量を管理し、過剰な吸い上げを防ぐ
  3. 加熱エレメントの出力を制限
  4. ボイルや発酵時にも最低水位を維持

これらのポイントを押さえ、安全でスムーズな醸造を心がけましょう。